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退職・転職の引き止めに対してやってはいけない8つのNG行動を解説

アイキャッチ:退職・転職の引き止めに対してやってはいけない8つのNG行動を解説

これから会社に退職を申し出るが、ほぼ確実に引き止められるだろう…と思われる方。

退職交渉には遠慮せずに臨む気でいるが、話を拗らせないため、最低限「やってはいけないこと」を知りたいというお考えでしょう。

結論、退職交渉で「やってはいけないこと」は8つあり、これを避けることでスムーズに退職できます。

また、転職への影響もいっさい無い辞め方もできます。

本記事では退職時にやってはいけない8つの行動と、会社から引き止めにあわないようにするための方法、強引に引き止められたときの対処法を詳しく解説します。

ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

[articleIndex]

1.退職面談のとき・引き止めにあったときにやってはいけない8つの行動

退職でやってはダメな8つの行動とは

退職を申し出てから実際に退職が決まるまでは、会社と引き継ぎやスケジュールなど、様々なことを話し合って決めます。

その際、話をこじらせることなくスムーズに退職するには、会社に対して無礼すぎず、かといって遠慮しすぎずに交渉するのが鉄則です。

そのために、具体的に「やってはいけない行動」は以下の8つです。

  1. いきなり「退職届」を提出する
  2. 退職理由として「会社への不満」を挙げる
  3. 優柔不断な態度をとる
  4. 就業規則を破って早すぎる退職日を希望する
  5. 勤務時間内にいきなり退職を相談しようとする
  6. 転職先を具体的に言ってしまう
  7. 退職の相談をメールや電話でする
  8. SNSで愚痴などを発信する

このような「やってはいけない行動」をしないことで、不要なトラブルを避け、スムーズに退職手続きができるでしょう。

1)いきなり「退職届」を提出する

まず、退職するつもりだからと、上司と何も相談していないのに「退職届」を出してはいけません。

「退職届」は、「この日に退職する」ことを正式に通知する書類です。

そのため、退職日や有給消化のスケジュールも何も決めていない段階で提出しても、会社は受け取ることができません。

また、一方的に「退職届」を出してしまうと、会社から「話し合う気がない」とマイナスの印象を持たれる可能性があります。

「退職届」は基本的には会社と相談の上、退職日が確定してから提出すると覚えておいてください。

2)退職理由として「会社への不満」を挙げる・失礼な態度をとる

退職することを伝えると、高い確率で「退職の理由は何か」を尋ねられますが、退職理由として「会社への不満」を理由とするのはやめましょう。

また、会社への不満を言わないまでも、退職面談で失礼な態度を取るのもおすすめできません。

会社も不満を言われたり失礼な態度をとられれば良い気はしませんし、お互い感情的になって不要なトラブルを招くリスクがあります。

また、逆に「会社への不満を改善すれば会社に残る可能性がある」と思われて、引き止められる可能性が高くなったりもします。

そうなると、実際に待遇の改善や部署移動を提案されたとき、引き止めを断りづらくなってしまうでしょう。

どのような理由にするのが適切かは、後の章で解説しています。

3)優柔不断な態度をとる

退職の引き止めに対して、優柔不断な態度は取らないようにしましょう。

引き止められた際に迷いを見せたり、話し合いに応じるようなそぶりを見せてしまうと、

「強く押せば退職を思い直してもらえる」と判断されます。

こうなると、しつこく引き止めにあう可能性があるのです。

対策としては、最初から退職の意思が固いことを態度で示すようにしましょう。

退職について伝える際も、「退職しようと思うんですけど」といった言い方ではなく、「退職します」と断定的に伝えてください。

4)就業規則を破って急すぎる退職日を希望する

急すぎる退職日を希望するのもよくありません。

遅くとも退職日の1ヶ月前には退職を申し出るのが一般的です。

法律上は問題なくとも、「2週間後に辞めたい」と言い出すようなことはなるべく避けたほうが無難です。

また、会社によっては、退職を申し出るタイミングについて就業規則に明記している場合があります。

退職を伝える前に、就業規則を1度確認しておきましょう。

就業規則に「退職は1ヶ月前に申し出ること」と書いてあるのに、それよりも遅く、例えば3週間前に伝えるといった行為は避けるべきです。

5)勤務時間内にいきなり退職を相談を切り出す

勤務時間中、上司にいきなり退職の相談に乗ってもらおうとするのはなるべく避けた方が良いでしょう。

上司としては「勤務時間中に実務と関係ない話をするのは良くない」と考えているかもしれないためです。

かといって、勤務時間が終わってすぐに「退職の相談があります」と切り出すのもあまりよくありません。

上司も退勤後に予定があるかもしれないのに、都合を考慮できていないからです。

理想は、勤務時間が終わる前に「勤務時間が終わってから退職の相談をしたいのですが、本日お時間はどうでしょうか」と尋ね、了承をとっておくことです。

これなら、相手が「勤務時間内で話したい」と思えばそのように返事をしてもらえるはずなので、相手の都合のいい時間帯にあわせて相談できます。

6)転職先を具体的に言ってしまう

転職先の会社名を具体的に言ってしまうこともやってはいけません。

転職先を具体的に言ってしまうと、今いる会社を切り捨てていったというイメージをより強く相手に与え、関係を悪くしてしまうおそれがあります。

また、会社によっては、転職先に嫌がらせで連絡されるといった可能性が全くないとは言えません。

余計なトラブルを生まないためにも、転職先は会社にバレないようにしておきましょう。

上司から「転職先はどこ?」と尋ねられても答えないようにし、大まかな業種や職種だけ言うだけに留めます。

退職理由を説明する際にうっかり口にしてしまう可能性もあるので、「転職先について言わない」とあらかじめ気を付けておくことが大切です。

7)退職の相談をメールや電話でする

退職の相談は、基本的にメールや電話などで行わないようにしてください。

できるかぎり上司と対面で行うようにしましょう。

対面で話すことで、退職に向けての本気度や、辞める会社・お世話になった上司に対しての誠意を示すことができます。

また、退職日を確定させるために引き継ぎなどを含めたスケジュール調整もしなくてはいけませんが、こういった調整も対面での話し合いの方がスムーズに進められます。

ただし、上司がパワハラ気味で対面するだけで精神的にストレスである場合などは、絶対に対面でなくてはいけないわけではありません。

あくまで「きちんと話を聞いてくれる上司」であることが前提なので、状況に応じて判断しましょう。

8)SNSで愚痴などを発信する

退職に際して、SNSに会社への不満や愚痴を書きこんではいけません。

「会社名は出していないから大丈夫」と思っても、会社が特定できるような情報が今までの書き込みに含まれていれば、閲覧した人の中には分かる人も出てくるかもしれません。

そうなると、社名を出して愚痴を言っているのと同じことになります。

大っぴらに会社への不満や愚痴を書くことでイメージダウンになった場合、名誉棄損罪に問われたり、信用を傷つけたとして損害賠償を請求されたりするおそれがあります。

また、たとえ非公開設定(いわゆる「鍵アカ」)にしていたとしても、その設定を見られる人がいるなら世に流出してしまうリスクはあるので、愚痴の発信自体をやめましょう。

2.会社があなたを引き止めてくる4つの理由とその対策

会社が引き止めてくる4つの理由

会社の上司があなたの退職を引き止めてくるのは、多くは以下のような理由によるものです。

  1. 人手不足で業務が回らない
  2. 優秀な人材を失いたくない
  3. 社内に影響が出ることを懸念している
  4. 上司自身が評価を下げたくない

会社の都合を考えて引き止めてくるタイプのあれば、上司が自分の保身おために引き止めてくるタイプもあります。

それぞれの理由ごとに、引き止めをうまくかわす簡単なコツや対処法もあわせて述べていきます。

とはいえ対処法らしい対処法もない場合は、「あなたが気にすることではない」といった気持ち的な割り切りも大事です。

なお、どのような表現で断れば良いかなどは以下の記事でより詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。

1)人手不足で業務が回らない

最もよくある引き止めの理由は「人手不足」です。

人手が足りていないため、1人でも抜けられると業務が回らなくなってしまうのです。

新しい人材の採用にかかるコストを避けたいという思惑から、現職のあなたに辞められたくないと考えて引き止めてくるケースが多いでしょう。

ですが、1人が抜けてもしばらくは回せるような体制にすべきところ、そうしていなかった会社が問題なので、あなたが気にする必要はありません。

2)優秀な人材を失いたくない

あなたが会社にとって重要なスキルや知識を持つ「優秀な人材」だから、手放したくないという理由もあります。

この理由の場合、あなたという個人にどうしても辞めてほしくないからと、会社側も待遇の改善を示してくるケースがあります。

このような理由で引き止められる場合は、あなたが培ってきた仕事のノウハウやコツを、引き継ぎ資料などに落とし込み、後任の人にきちんと共有すると良いでしょう。

優秀と言っていただけた理由はこのノウハウがあったからで、それを引き継ぎでちゃんと共有するから」と説得することで、退職を認めてくれるかもしれません。

なお、あなたが社内の待遇の悪さを理由に退職するつもりなら、改善されることを前提に会社に残る選択肢もあります。

3)社内に影響が出ることを懸念している

あなたの退職によって、会社に影響が出ることを懸念しているという理由もあります。

あなたの退職をきっかけにチームの士気が下がったり、他にも退職者が出たりと、場合によっては部署全体にまで良くない影響が出ることもあるからです。

ですが、本来そういったことは、退職者によって悪い影響が出ないよう会社が日ごろから対策しておくべきことです。

あなたが退職する際に社内への影響を考えて気にすべきなのは、引き継ぎをきちんと行うことです。

それ以外は特に気にする必要はありません。

4)上司自身が評価を下げたくない

あなたが退職することで、上司が評価を下げられたくないと思っている場合もあります。

特に上司自身がパワハラ気味であるなど、部下が退職していく原因の1つになっていた場合は、人事から「マネジメント不足」などとマイナスな評価を受ける可能性が高いです。

評価を下げられるのが嫌で、意地でもあなたを退職させまいとしてくるのです。

上司が自身の評価を気にしている様子があれば、「上司のマネジメント不足とは全く関係ない」理由で辞めることを、その上司にも会社にも伝えるのが得策です。

例えば、「目指すものがうちの会社だと出来ないから」というよりも、「新しい目標ができたから」というように言い方1つ変えるだけでも、上司の「マネジメント不足」的な印象がなくなります。

3.そもそも引き止めにあわない退職の仕方とは?|4つの対策

引き止めにあわない4つの対策

退職の際に最もトラブルに発展しやすいのが、「会社から引き止めにあい、それを断ること」です。

会社と余計なトラブルを避けて円満退職したいなら、退職を伝える前に、まず退職の引き止めにあわないための対策をしておきましょう。

1)できるだけ早く余裕をもって退職を伝える

退職はなるべく早い時期に余裕を持って伝えることが大切です。

会社から退職を引き止められるケースとして、「人手が不足している」とか「引き継ぎが間に合っていない」などの場合があります。

早いうちに退職を伝えられれば、会社側もあなたが辞めるまでの間に後任の準備や、引き継ぎの手筈を整えられます。

あなたが「十分な時間を取って退職の準備をするつもりがある」と分かれば、会社にも退職を認めてもらいやすいでしょう。

なお、退職を伝えるベストなタイミングについては、3章で解説しています。

2)引き止められにくい退職理由を伝える

退職理由は会社から引き止められにくい内容にしましょう。

引き止められにくい理由とは、個人の意思ではどうしようもない「家庭・健康面の問題」や、キャリアアップや夢への挑戦などの「前向きな理由」です。

主に以下のような理由が挙げられます。

  • 家庭・健康面の問題
    • 体調不良や病気など健康面の問題
    • 家族の介護などの家庭の事情
    • 結婚・出産といったライフイベント
  • 前向きな退職理由
    • キャリアアップや夢への挑戦
    • 転職先が既に決まっている

特に「前向きな理由」は、実際の転職理由が何であれ、理由として挙げやすいのでおすすめです。

反対に、「会社への不満」などを退職理由にするのは、1章-2で述べた通り「引き止められやすい」ので避けるようにしましょう。

3)引き継ぎをきちんとする意思を伝える

引き継ぎを十分に行う意思があることを伝えましょう。

退職時に会社が特に気にするのが、「引き継ぎを十分にしてもらえるか」という点です。

引き継ぎをしっかりやる意思があると分かれば、会社側にも納得してもらいやすいですし、それだけ退職する意思が固いことも示せます。

「◯月◯日~◯日までの間に引き継ぎをして、◯日に退職というのはどうか」と具体的に提案するのが理想でしょう。

ただし、会社の都合もあるため、提案した引き継ぎの日程が必ず通るとは限りません。

退職日を動かせない場合以外は、会社の状況にあわせて多少は融通を利かせられるようにしておくとベストです。

4)会社への感謝も忘れずに伝える

退職面談では、会社への感謝を忘れず伝えるようにしましょう。

実際には会社に多くの不満があったとしても口にせず、これまでお世話になったことに対する感謝でまとめた方が心証も良くなります。

ただし、何の不満もないならなぜ辞めるのか?という点で突っ込まれてしまうと大変なので、会社へは感謝を伝えつつ、それでも理由があって辞める必要があることを強調しましょう。

先に述べたように、引き止められにくい「前向きな理由」を用意しておくと安心です。

4.退職を伝えるベストなタイミング|転職も考慮して

上司に退職を伝える最適なタイミングとは

前章でも伝えた通り、会社から引き止められずに円満に退職交渉を進めるためには、退職を言い出すタイミングが大切です。

なるべく早いタイミングで伝えることはもちろん、転職のことを考えると他にも気を付けておくべき点があります。

以下の全ての条件を満たしたタイミングで伝えられるのがベストです。

  1. 退職を希望する3ヶ月〜1ヶ月前には伝える
  2. 繁忙期を避ける
  3. 転職先の入社日が決まる前に伝える

順番に確認しておきましょう。

1)退職を希望する3ヶ月〜1ヶ月前には伝える

就業規則に「退職を伝えるタイミング」が書いてあればそれに従い、何も書いていなければ退職を希望する3ヶ月~1ヶ月前には伝えるようにしましょう。

退職の意思を早めに伝えることで、会社側も後任探しや業務調整を余裕を持って行えます。

あなたも引き継ぎや退職までの準備を慌てなくて済み、取りこぼしやミスがないよう十分に時間をかけて行えるメリットがあるのです。

なおこの時、退職時の有給消化の期間も考慮に入れるとなお良いです。

例えば有給が20日残っているなら、たとえ1ヶ月前に退職を伝えたとしても、ほとんど引き継ぎの間もなく退職になってしまいます。

急病でない限りは、少なくとも有給消化する日数分+1ヶ月前のタイミングで伝えるようにしてください。

2)繁忙期を避ける

退職を伝えるタイミングも、退職時期も、なるべく繁忙期は避けましょう。

繁忙期に言い出すことで、「この忙しい時期に無責任だ」と反感を買うおそれがあります。

また、そもそも退職スケジュールを調整する時間すら確保するのが難しかったり、引き継ぎ業務のために上司や同僚に負担をかけてしまったりすることも考えられます。

退職日をどうしてもズラせない場合を除き、自分から退職を申し出るならあらかじめ繁忙期を避けた方が、会社の理解を得やすく円満退職しやすいでしょう。

3)転職先の入社日が決まる前に伝える

なるべく転職先の入社日が決まる前に、退職を伝えましょう。

会社に退職を伝えるとき、希望した退職日程をすぐに認めてもらえればいいのですが、スムーズに行くとは限りません。

強く引き止められて退職の話が進まないこともありますし、引き継ぎや有給消化が間に合わないこともあります。

すでに転職先の入社日が決まっている場合、今の会社の退職がうまくいかないことで転職先にも迷惑をかけてしまう可能性があるのです。

理想は、転職先から内定をもらった段階で、正式な入社日が決まる前に、今の会社に退職を相談して退職日を確定させる方法です。

ただし、転職先によっては、最終面談中などに大まかな入社日を決めてしまうこともあります。

転職先に「現職での引き継ぎや有給消化が入る可能性があること」「入社日が遅れる可能性があること」を伝えて、理解を得られるようにしておきましょう。

5.スムーズに円満に退職するための6つの手順

円満に退職するための6つの手順

スムーズに円満退職するため、退職に必要な手順を確認しておきましょう。

1)退職を伝える

退職を伝えるベストなタイミング(3章で解説)を意識して、少なくとも退職日の1ヶ月前には上司に退職の意思を伝えます。

このとき、「退職理由」を尋ねられることも多いので、あらかじめ「引き止められにくい理由」を準備しておきましょう。

また、「引き継ぎ」をきっちり行うつもりなことや、「会社への感謝」も丁寧に伝えることで、上司に退職を受け入れてもらいやすくなります。

ここでもし強く引き止められたら、6章で解説している対応を取ってみてください。

2)引き継ぎや有給消化のスケジュールを上司と一緒に組む

上司と相談し、引き継ぎや有給消化のスケジュールを決めましょう。

上司の指示をただ受け身で待つのではなく、会社の状況なども見たうえで「◯月◯日~◯日までの間に引き継ぎをして、◯日に退職というのはどうか」と自分から提案することも大切です。

提案した引き継ぎの日程が必ず通るとは限りませんが、受け身すぎると退職日を不必要に引き延ばされたり、会社の都合だけを押し通されてしまうおそれがあります。

会社の状況にあわせて融通を利かせられるようにしつつ、上司が無茶を言ってきたときはそのまま受け入れずきちんと断りを入れてお互い納得できるよう話を進めましょう。

3)スケジュールが確定してから退職届を提出する

退職日、最終出勤日、有給消化のスケジュールなどが確定したら、退職届を作成して上司に提出します。

退職届は一度提出すると基本的に撤回できないので、必ず退職の日程について会社と合意を取った後に提出するようにしましょう。

退職届のテンプレートもありますので、書き方に迷った場合は活用してください。

4)引き継ぎを行う

スケジュールが決まったら、あとは退職日までの間にきっちり後任への引き継ぎ作業もきっちり行いましょう。

後任がまだ見つかっていない場合は、簡単な引き継ぎ用のマニュアルを作っておくと「引き継ぎ作業をした」ことを会社に示せます。

とはいえ、上司と相談の上で退職の日程を決めたなら、最終出社日までの間にできる範囲の引き継ぎさえすれば大丈夫です。

特に、直近の業務の進捗や、自分だけが管理していた資料やデータの保管先などは優先して引き継ぐようにしましょう。

5)私物を持ち帰る、備品や貸与物を返す

退職前には、会社に置いてある私物をすべて確認し、忘れ物がないように持ち帰りましょう。

引き継ぎに関係ない不要な書類やメモなどは、後で同僚や上司の手を煩わせないよう処分しておきます。

また、会社から貸与されている以下の備品なども退職前にきちんと返却しましょう。

【返却が必要なもの】

  • 社用PC・スマートフォン
  • 制服
  • USB
  • 社内資料
  • 社内施設の鍵

6)同僚や会社でお世話になった人へ挨拶をする

退職前に、これまで一緒に働いてきた同僚や上司、特にお世話になった方々に感謝の気持ちを伝えることも忘れないようにしましょう。

直接挨拶できる場合は、笑顔で感謝の意を表すことが大切です。

対面での挨拶が難しい場合は、メールやLINEなどで伝えるだけでも問題ありません。

何もしないでそのまま退職してしまうよりも、丁寧で誠実な印象を与えられるでしょう。

6.会社から「強引に」引き止められて辞められない時の4つの対処法

強引な引き止めには4つの対処法を取ろう

これまで円満退職のための対策を述べてきましたが、どのような対策をしても、退職を強引に引き止められることはあります。

中には、引き止めの範囲を超えて「退職拒否」されるようなケースもあるのです。

そこで、これから実際に引き止めにあったときに取るべき4つの対処法を解説します。

あらかじめ確認しておき、慌てず対処できるようにしておきましょう。

なお、「会社が辞めさせてくれない」場合については以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

1)退職の気持ちが変わらないことをはっきり示す

引き止めにあっても、「退職の意思は変わらない」ことを冷静に伝えるようにしましょう。

何度引き止めようとしても退職の意思は揺るがないと分かれば、いずれ上司も受け入れてくれます。

上司があなたに会社に残って欲しいと思い、「退職を考え直してもらえないか」と確認すること自体が悪いわけではないので、1度引き止められた程度で不機嫌な態度を取るのは良くありません。

あくまで穏やかな姿勢を保ちつつ、「押せば引き止められるかも…」と思われないように、堂々と引き止めを断りましょう。

2)法的なルールを把握して正当性を主張する

強引な引き止めに対しては、法律上の退職のルールについて話し、「退職を認めないのはおかしい」と主張するのも1つの方法です。

正社員の場合、労働者は退職を申し出てから2週間後には退職できると法律で決まっています(民法627条)。

つまり、退職したいと言っているのに、言い出してから2週間を過ぎても退職を認めないのは「違法」なのです。

こうした法的なルールについての話を上司に丁寧に伝えた上で、「それでも退職を認めてもらえないなら労基や弁護士などの外部に相談する」と言ってみてください。

法的な根拠があるにも関わらず退職を許さないとなれば、会社に指導などが入る可能性があると考え、退職を認めてくれるかもしれません。

3)人事に相談する

上司に言っても聞いてもらえないなら、人事部や人事担当の人に直接相談してみましょう。

人事は法的な知識を持っているため、直属の上司と比べて話が通じやすいです。

相談してみると、あっさりと退職を認めてもらえる可能性もあります。

退職に際して「引き継ぎが不足している」などの問題がある場合でも、退職自体は認めた上で、問題解決のために「どんなスケジュールにするか」といった建設的な話し合いができるでしょう。

4)弁護士の「退職代行サービス」を使う

上司がどうしても退職させてくれない場合は、弁護士がやっている「退職代行サービス」に依頼しましょう。

退職代行サービスとは、会社に「退職の意思」を伝えるところから、その後の退職に必要な手続きを代行してくれるサービスです。

特に弁護士の退職代行サービスでは、弁護士があなたの「代理人」として、会社との交渉や退職に必要な手続きを全て引き受けてくれます。

あなたの退職を強引に引き止める上司に対しても、退職を認めるように法的な根拠にもとづいて交渉し、確実にあなたの退職を認めさせてくれるのです。

また、上司のパワハラが日常的な職場などで、退職を引き止められる可能性が高そうだと感じたら、退職を伝える時点で弁護士を頼んでおくのも手です。

「退職を引き止められるかも」と悩む必要がなく、引き止められた際に上司と直接交渉するストレスもなくなります。

退職について交渉するのは難しそうと感じたら、ぜひ退職代行を使ってみてください。

以下のバナーから、LINEを使った無料相談ができます。

まとめ

退職面談で引き止めにあったとき話を拗らせず退職するには、以下の「退職時にやってはいけない8つの行動」を避けることが大切です。

  • 【行動①】いきなり「退職届」を提出する
  • 【行動②】退職理由として「会社への不満」を挙げる
  • 【行動③】優柔不断な態度をとる
  • 【行動④】就業規則を破って早すぎる退職日を希望する
  • 【行動⑤】勤務時間内にいきなり退職を相談しようとする
  • 【行動⑥】転職先を具体的に言ってしまう
  • 【行動⑦】退職の相談をメールや電話でする
  • 【行動⑧】SNSで愚痴などを発信する

これらの行動を避けることで、不要なトラブルを避け、スムーズに退職手続きができるようになります。

また、多くの場合、退職時のトラブルは「退職時に引き止めにあい、それを断ること」で起きます。

そのため、そもそも会社から引き止めにあわないようにする対策も重要です。

退職を伝えるタイミングは繁忙期を避けた退職日の1ヶ月~3ヶ月前にし、「引き継ぎ」もきっちりやる意思表示をするようにしましょう。

また、会社でお世話になった人たちに感謝の気持ちを伝えることも忘れないでください。

これらの対策をとってもなお、会社から強引に退職を引き止められたり、退職拒否されたりする場合は、弁護士の「退職代行サービス」の利用を検討してください。


なお、記事の内容は投稿時の法令・制度に基づいており、投稿後に法改正等がなされている可能性があります。
記事をご参考にされる際は、必ずご自身の責任において最新情報をご確認下さい。

   

勝部 泰之 (Yasuyuki Katsube)

                     

弁護士(35487 / 東京弁護士会)。証券会社勤務時代に携わったシステム開発案件を中心に、決済、暗号資産、特許関連法務を多く手掛ける。また、エンジェル投資家としてスタートアップ企業の成長を多角的にサポートする活動も行う。 George Washington University Law School (LL.M.・知財専攻) 卒業(2016)。経済産業省 中小企業庁主催 適正取引講習会 「下請法(実践編)」講師(2024)

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