暗号資産(仮想通貨)/ブロックチェーン
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暗号資産交換業の登録までの流れと4つの登録要件を弁護士が解説!

はじめに

暗号資産交換業の登録を検討していると、「何から準備したらいいかわからない」「無事に登録を受けられるのだろうか」などと、行き詰ったり不安になったりすることもあるのではないでしょうか。

暗号資産交換業の登録は、決して簡単に受けられるものではありません。
そのため、まずは登録を受けるために必要な要件をしっかりと押さえ、万全な準備を行うことが大切です。
また、事業の見通しを立てるために、申請の流れを知っておくことも必要でしょう。

今回は、暗号資産交換業の登録について、その要件や申請の流れを中心に弁護士がわかりやすく解説します。


※「暗号資産交換業取得の概要」について詳しく知りたい方は、「【詳細解説】日本で暗号資産交換業者登録するために必要となる収益・資金は?」をご覧ください。

1 暗号資産交換業の登録要件

暗号資産交換業の登録要件は、主に以下の4つです。

  1. 株式会社または外国暗号資産交換業者であること
  2. 財産的基礎を有すること
  3. 事業を適正・確実に遂行する体制が整備されていること
  4. 法令遵守のために必要な体制が整備されていること

(1)株式会社または外国暗号資産交換業者であること

事業者が株式会社または外国暗号資産交換業者であることが必要です。

ここでいう「外国暗号資産交換業者」とは、外国において、日本における暗号資産交換業と同種の登録を受けている事業者のことをいいます。

外国暗号資産交換業者が日本で暗号資産交換業の登録を受けるためには、以下の2つの条件をいずれも満たしていることが必要です。

  • 営業所が国内にあること
  • 国内における代表者(国内に住所がある者)を置くこと

(2)財産的基礎を有すること

財産的基礎を有することが必要であり、具体的には、以下の2つの要件をいずれも満たしていることが必要です。

  • 資本金の額が1,000万円以上であること
  • 純資産額がマイナスでないこと


これらを満たしているかどうかは、事業者に係る貸借対照表や損益計算書、金融機関が発行する残高証明書、確定申告書などにより判断されます。

(3)事業を適正・確実に遂行する体制が整備されていること

適切な体制が整備されているかどうかは、主に以下の点により判断されます。

  • 利用者保護のための措置
  • 分別管理
  • システムリスク管理


事業者は、利用者保護の観点から、利用者と取引をする場合には、事前に適切な情報などを提供する必要があります。
そのため、このような業務を適正・確実に遂行できるための体制が整備されていなければなりません。

また、事業者は、利用者から預かった金銭や暗号資産と自社の財産とを分別して管理する必要があります。
分別管理が適切になされているかどうかは、分別管理をする具体的な方法が社内規則に定められているか、また、その方法を実際に遵守しているかといった要素を基に判断されます。

さらに、業務上取り扱う情報が安全に管理されているかということも判断材料の一つになります。
システムリスク管理が適切になされているかどうかは、不正アクセスや情報漏えいなどのリスクを想定した管理体制となっているか、また、その管理体制について定期的な見直しを実施しているかといった要素を基に判断されます。

(4)法令遵守のために必要な体制が整備されていること

言うまでもありませんが、事業者は、法令遵守のために必要とされる体制を構築することが必要です。

適正に業務を遂行していくうえで法令を遵守することは必要不可欠であり、そのことが利用者の信頼確保にも繋がります。

たとえば、法令遵守のための具体的な方針や計画などが作られているか、そのことが役職員に対して周知徹底されているか、などが判断の際のポイントとなります。
また、研修制度や教育体制の構築も必要になると考えられます。


※暗号資産交換業の登録要件について詳しく知りたい方は、「暗号資産(仮想通貨)交換業の登録のために必要な6つの要件とは?弁護士が解説!」をご覧ください。

2 暗号資産交換業登録までの流れ

暗号資産交換業の登録を受けるためには、以下のステップを踏む必要があります。

  1. 要件充足の確認
  2.    ↓

  3. 事前相談
  4.    ↓

  5. 登録申請
  6.    ↓

  7. 登録

(1)要件充足の確認

登録申請を行う前に、いまいちど、自社について暗号資産交換業の登録要件をすべて満たしているかどうかをきちんと確認することが大切です。
要件を満たしていない場合には、要件を満たすよう再度準備をすることが必要です。

また、登録要件を満たしているかどうかの判断がつかない場合は、弁護士などの専門家に相談することも選択肢の一つでしょう。

(2)事前相談

通常であれば、登録申請書を提出するという流れになりますが、暗号資産交換業の場合、登録申請をする前に「事前相談」が実施されます。

事前相談では、数ヶ月にわたり、役員へのヒアリングや書面審査、訪問審査などが実施され、事業者の体制や管理方法などの確認が行われます。

事前相談の段階で登録要件を満たしていないことが判明したり、登録拒否事由にあたる事実が認められた場合には、その旨指摘を受けることになります。

(3)登録申請

事前相談により、事業者の体制や管理方法などの確認がすべて終わると、その後登録申請を行うことになります。

(4)登録

事前相談などの結果を踏まえて、登録の可否が判断されます。

問題がなければ、暗号資産交換業者として登録を受けることになります。

3 まとめ

暗号資産交換業の登録は、ハードルが高いと言われています。
業務の性質上、厳格な管理体制が求められ、また、十分な経済的基盤を有していることも必要になります。

登録に至るまでの手続きをスムーズに進めるためには、登録要件を十分に理解したうえで準備を万全にすることが大切です。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


なお、記事の内容は投稿時の法令・制度に基づいており、投稿後に法改正等がなされている可能性があります。
記事をご参考にされる際は、必ずご自身の責任において最新情報をご確認下さい。

   

勝部 泰之 (Yasuyuki Katsube)

                     

弁護士(35487 / 東京弁護士会)。証券会社勤務時代に携わったシステム開発案件を中心に、決済、暗号資産、特許関連法務を多く手掛ける。また、エンジェル投資家としてスタートアップ企業の成長を多角的にサポートする活動も行う。 George Washington University Law School (LL.M.・知財専攻) 卒業(2016)。経済産業省 中小企業庁主催 適正取引講習会 「下請法(実践編)」講師(2024)

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