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ウェブサービスを始めるスタートアップが注意すべき3つの法律を解説

はじめに

コロナ禍により厳しい状況が続くなか、これからウェブサービスをローンチすべく、日々準備に追われている事業者の方もいらっしゃると思います。

ウェブサービスを開始するにあたっては、さまざまな準備が必要となりますが、そのうちの一つに「法律面の整備」があります。
とはいえ、法律に精通している方は少ないため、不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回はウェブサービスを開始する場合に、押さえておくべき法律をわかりやすく解説します。

1 押さえておくべき3つのポイント

ウェブサービスを開始する場合に押さえておくべきポイントは、以下の3つです。

  1. 利用上のルール
  2. 個人情報の取扱い
  3. 表記上のルール

2 利用上のルール

何らかのサービスを利用する場合、「利用規約」というものを目にすることがほとんどです。

利用規約」とは、ウェブサービスの利用にあたり、ユーザーが守るべきルールを定めたものです。

ユーザーは、利用規約に同意すると利用規約に定められている条項に拘束されることになります。つまり、利用規約とは、ユーザーが同意することを条件に、ユーザーと事業者の間に契約が成立することを意味するのです。

利用上のルールを設けていないと、想定外の利用をされたり、ユーザーとトラブルになった場合に解決できなかったりするおそれがあります。
このようなことがないように、あらかじめウェブサービスの利用上のルールを「利用規約」という形で定めておくことが必要になります。

もっとも、利用規約を作成する場合には、注意すべき点がいくつもあります。
具体的にどのような事項を定める必要があるのか、ユーザーから同意を取る場合に注意すべきことは何か、などをきちんとクリアしたうえで、適切に作成する必要があるのです。

また、2020年4月に施行された改正民法で新設された「定型約款」というルールをきちんと理解しておくことも必要になってきます。

このように、ウェブサービスを開始するにあたって、利用規約は必須となりますが、作成にあたっては押さえておかなければならないポイントがいくつもあります。
杜撰な利用規約を作成してしまうと、さまざまなトラブルを招く要因にもなりうるため、注意が必要です。

※利用規約の作成方法については「利用規約の注意点は?もつべき視点2つと作成方法のポイントを解説!」をご参照ください。

3 個人情報の取扱い

ウェブサービスを提供する場合、事業者は多くの個人情報を扱うことになります。
そこで必要となるのが「プライバシーポリシー」の作成です。

プライバシーポリシー」とは、個人情報といったプライバシーに関する情報の取扱方針(ポリシー)を定めた文書のことをいいます。

個人情報の取扱方法は、サービスの内容によって異なるため、プライバシーポリシーはサービス単位で作成されることが一般的です。
自社のサービスに似ているという理由だけで、類似サービスのプライバシーポリシーを流用するようなことをすると、後のトラブルに繋がる可能性があるため、注意が必要です。

もっとも、プライバシーポリシーを作成することが、法律で義務付けられているわけではありません。

個人情報に関するルールは、個人情報保護法で定められていますが、現在では、個人情報を取り扱うサービスが実に多く、その多くの事業者が個人情報保護法で定められている「個人情報取扱事業者」にあたります。

個人情報取扱事業者は、さまざまな法的義務を課され、その中には、ホームページなどにより公表することが義務付けられている事項も存在します。
そこで、このような義務を果たす方法として、プライバシーポリシーを使うことが一般的になっているのです。

プライバシーポリシーについても、利用規約を作成する場合と同様に、作成時の注意点が多く存在します。
何を定めておく必要があるのか、プライバシーポリシーの掲出場所など、作成時に押さえておくべきポイントは多いです。

類似サービスのプライバシーポリシーを流用するなど、杜撰な対応をしてしまうと、利用規約と同様、ユーザーとのトラブルに発展する可能性があるため、注意するようにしましょう。

※プライバシーポリシーを作成する場合のポイントについて詳しく知りたい方は、「プライバシーポリシーとは?作成時の6つのチェックポイントを解説!」をご参照ください。

4 表記上のルール

ウェブサービスといっても、サービス内容はさまざまです。
ここで注意しなければならないのが、提供するサービスが「通信販売」にあたる場合です。

ここでいう「通信販売」とは、雑誌・インターネットなどを使って広告し、郵便・電話などの通信手段により消費者から契約の申込みを受ける形態の取引をいいます。

利用されている方も多いと思いますが、いわゆる「通販」と呼ばれるものです。

ウェブサービスが通信販売にあたる場合、特定商取引法の規制対象となり、事業者にはさまざまな義務が課されますが、そのうちの一つに「表示義務」があります。

取引をしようとする事業者は、その勧誘に先立ち、取引の相手方に氏名や勧誘に係る商品などを明らかにしなければなりません。
これを「表示義務」といいます。

見たことがあるという方もいらっしゃると思いますが、事業者のサイトなどに掲載されている「特定商取引法に基づく表記」は、この表示義務を履行する方法として多くのサービスで用いられているのです。

このように、通信販売にあたるウェブサービスを提供する場合、事業者は、「特定商取引法に基づく表記」を掲載するなどして、表示義務を果たす必要があります。

5 まとめ

ウェブサービスを始める場合、少なくとも今回見てきた3点については押さえておくことが必要です。
このほかにも、サービスの内容などに応じて、関係すると思われる法律を十分に確認しておくことも大切です。

法律面の対応が十分でないと、サービスの信用問題にもかかわってくるため、慎重に対応するようにしましょう。

弊所は、ビジネスモデルのブラッシュアップから法規制に関するリーガルチェック、利用規約等の作成等にも対応しております。
弊所サービスの詳細や見積もり等についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


なお、記事の内容は投稿時の法令・制度に基づいており、投稿後に法改正等がなされている可能性があります。
記事をご参考にされる際は、必ずご自身の責任において最新情報をご確認下さい。

   

勝部 泰之 (Yasuyuki Katsube)

                     

弁護士(35487 / 東京弁護士会)。証券会社勤務時代に携わったシステム開発案件を中心に、決済、暗号資産、特許関連法務を多く手掛ける。また、エンジェル投資家としてスタートアップ企業の成長を多角的にサポートする活動も行う。 George Washington University Law School (LL.M.・知財専攻) 卒業(2016)。経済産業省 中小企業庁主催 適正取引講習会 「下請法(実践編)」講師(2024)

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